「今、時間ある?」
弱々しくて震えているその子の声。
ただ、目はまっすぐ桐生くんの方を見ている。
「見てわからない?俺、勉強してんだけど。時間あるように見えるわけ?」
「ご、ごめんなさいっ……でも、どうしても言いたくて」
桐生くんの冷たさに肩をすくめてしまうその女の子。
「桐生くんが、好きです」
「まず、あんた誰。俺、あんたに興味無いから」
「いいんです、興味なくても……付き合ってくれませんか?」
今日の女の子は諦めが悪い。
というか、我慢強い。
ほとんどの女の子は、そんな冷たい態度の桐生君に我慢てぎず、泣いて帰ってしまうから。



