沙耶ねぇ、こと米倉沙耶。



いつでも優しくて、頼りになって……
私にとってはお姉さん的存在。



だから、私は沙耶ねぇって呼んでるんです。



「私は好きじゃないから」


「私は大好きなの!」


「はぁ……」



そういえば、ここに王子様を放って置く人がいたんだ。



沙耶ねぇは桐生くんが嫌いらしい。



もう既に、窓際には女の子がたくさんいて外がなかなか見えない。



背が低い私には、背伸びをしても思いっきり飛び跳ねても、外は見えっこない。



「桐生くんが見えないよ……」


「本当、どこがそんなにいいんだか」


「……わぁっ」



突然、沙耶ねぇに手を引かれて体がよろける。