「桐生くんよ!」


「本当っ!?」



教室中の女の子たちが、1人の生徒の言葉で窓の方へと集まっていく。



桐生奏汰くん。



この学園の王子様。



綺麗な黒髪で、黒縁メガネを身につけている桐生くん。



制服もきちんと着こなしてて、勉強熱心で……
おまけにかっこいい。



もちろん、そんな桐生くんを放って置く人なんて誰もいない。



「沙耶ねぇ、いこっ!」


「ちょっと、恋羽!?」



私は沙耶ねぇの手を引いて、窓の方へと駆け寄る。