私はお姫様抱っこをしてなんか一言も言ってない。
帰るなんてことも言ってないし、病院に行くなんて言う筈がない。
嘘でも病院に行きたいなんて言いたくないくらい、病院が嫌いなんだから。
全部、勝手に桐生くんがしたことだもん。
私が家から出なければ何もなかったんだけど……
だけど、
「多分あの時おろされてても、自分で歩けなかったかも」
これは病院から逃れる際に実験済み。
歩けない体のせいで、呆気なく連れ戻されたわけだけど、この時の私もだるかったから、同じように上手く歩けなかったかもしれない。
「それがわかって仕方なく恋羽のことをお姫様抱っこしたのね。どう考えてもアイツがお姫様抱っこなんてする性格じゃないし。もしそうなら“冷酷王子”なんかあだ名ついてないわよ」
周りにはっきりと聞こえてしまうくらい大きな声で話す沙耶ねぇ。
「ちょっ……そんな大きな声で」
言わなくてもいいのに
そういう前に、女の子たちからの視線が無くなったことに気がつく。
沙耶ねぇは気づいてたんだ。



