「そういえば恋羽、アイツに抱きかかえられてたよね?」



「あ……」



思い出すだけでも恥ずかしい。



ポッと体が熱くなる。



桐生くんの温もりが鮮明に思い起こされて、胸がドキドキと高鳴り、止まらない。



それと同時に、沙耶ねぇと話していたから気にしないでいたけど、女子からの多くの視線を感じる。



なんだかチクチクとその視線は痛い。



まるで心に針を刺されているよう。



そうか、原因はこれ?



いつも冷たい桐生くんがお姫様抱っこなんかをしていたから。



しかも特に可愛くもない私を。



でも、私は何もしてないよね?


「あれは……私もびっくりしたよ。恥ずかしいからおろしてって言ってるのになかなかおろしてくれなかったし…」



あれは桐生くんが悪いんだ。