「あの日、なんで無理して学校なんて来たのよ」



「それは……」



クラスメイトがいる教室だから、少し声量を落として、沙耶ねぇにごにょごにょと耳打ちした。



「はぁ……本当にアイツが好きね、恋羽」



呆れている様子の沙耶ねぇ。



帰ってきた言葉は予想通りだったかな。



沙耶ねぇのことだから、きっと呆れると思ってた。



「うん、大好き」



「はぁ…」



本日2度目のため息。



私の過去の話……



正確に言えば、桐生くんとの話をしてから冷たい冷酷王子ってだけじゃなくて、優しい所もあることは理解してくれた。



けれど、完全に心を許してくれたわけではないみたい。