「別にいいだろ。見るわけじゃねーし」
いや、そういう問題じゃ……
「奏汰、お前は外にいなさい」
「わかったよ」
そう言って診察室を出て行った桐生くん。
「ごめんね、バカ息子が」
「い、いえ。桐生くん本当はすごく優しくていい人ですから」
「奏汰が優しい人か」
私の心臓らへんに聴診器を当てて聞きながら、会話も行う先生。
ちょっと器用だなって思ったり。
「桐生くん、私に勉強を教えてくれたり……そうそう、教えるのすっごく上手なんですよ!」
そういうと、少し悲しそうな顔をする先生。
……って私、桐生くんのお父さんの前でこんなにべらべらと。
しかも、世間話なんかじゃなくて診察を受けに来ただけなのに。



