好きにさせた責任とってくれる?


桐生くんを名前で呼ぶなんて……



もしかしてこの人は、



「早く診察しろよ、父さん」



や、やっぱり……



この人は……先生は、桐生くんのお父さんなんだ。



とりあえず、挨拶しなきゃだよね!?



「あ、あのっ…き、桐生くんと仲良くさせて頂いている沢城です!よ、よろしくお願いします」



「……んな仲良くしてねーよ」



………



それはグサッと来ます、桐生くん。




「すまないね、沢城さん。こんなバカ息子だけどよろしくお願いするよ」



桐生くんをチラリと見てから、私にそう言う桐生くんのお父さん。



いや、今は先生と言うべきだろうか。



そして、笑いをこらえている先生と不機嫌な桐生くん。



私は一体どうしたら……



あ、そうだ。



今のうちに逃げてしまえば……



「で、今日はどうしたんだい?随分と元気が良さそうだけど」



「………へっ」



「逃げんじゃねーぞ」



さすが親子



と思うくらい口調が違っても、同じオーラを出している2人。



もう逃げることは許されないようです。



「はい、口開けてー」



「あー」



私は折れて、大人しく診察を受ける。



「喉は赤くないみたいだね。次は心臓の音を聞きたいんだけど…」



ちらっと見た先は桐生くん。



「んだよ」



「ここにいるの?」



それはさっきから思っていたことで、いつまでいるのかなと疑問には思っていた。



さすがにいられるのは恥ずかしい。