まさか、桐生くんがお医者さんの息子だったなんて……
ただ、わかったこともある。
あんなに勉強していたのは、これが理由だったんだね。
よくある話でしょ、医者の息子は医者になる。
「なんでみんなに秘密にしてるんですか?」
「別に自分から言う必要ないし。第一知らない人のほうが珍しいと思うんだけど」
え……
これは完全に私のミスだ。
桐生くんのことはたくさん知っていると思っていたのに………
って、私がストーカーみたいじゃん。
そんなやりとりをしているうちに私の名前が呼ばれた。
昼間という事もあって人も多かったけど、思っていたよりも早かった。
本当はこの時間が来ないとよかったんだけど。
「はい、沢城さんだね。そこに座って?」
「……はい」
診察室に入って、桐生くんでいっぱいだったのが、一気に現実へと引き戻される。
注射をされたらどうしよう。
注射は嫌。
そんなことが頭の中を駆け巡る。
どうか何もありませんように……
「あはは。そんな緊張しなくていいよ」
「は、はあ」
先生はリラックス、リラックスと言うけれど、こんなところでリラックスなんて出来る訳ありません。
とにかく怖いんです!
「面白い子を連れて来たな、奏汰」
か、奏汰!?
奏汰って桐生くんの名前だよね?



