「わぁっ……」
とうとう動き始めてしまうタクシー。
行き先はもちろんこの街で一番大きいであろう総合病院。
「…行きたくないっ」
そんなことを言ったって、行き先を変えてくれるなんて思っていないけど。
「沢城さんがまだ熱あるくせに、学校なんかに来るのが悪いだろ」
それは、結局桐生くんに迷惑をかけちゃってるわけだし、本当に悪いとは思ってるけど……
「……桐生くんに会いたかったんだもん」
聞こえるか聞こえないか、そのくらいの声で呟く。
というよりは、心の声が口からポロリと出てしまった。
「あ?何?」
「な、何でもないです!」
これは恥ずかしすぎて、本人になんて言えるわけがない。
……なんかヤバイかも
頭がガンガンとして体調が悪化してきているのがわかる。
視界もぼやけてきて、きっとまた熱が上がってきているのだろう。
自分では座っていられなくて、隣の桐生くんに寄りかかり頼ってしまう。
「あっつ……また熱上がってんじゃねーか。ったく…病院着くまで寝てろ」
桐生くんにもバレちゃった。
肩が触れてるから伝わっちゃうかな。
「……心配かけんなよ」
桐生くんのお言葉に甘えて、そのまま目を閉じる。
その瞬間に、どこからか優しい声が聞こえて………
そのまま眠ってしまった。



