「桐生くん、おろしてっ!」
そう訴えても、おろしてもらえる気配はない。
あっという間に外に出てしまう。
「おろしてください、桐生くん!」
「わかったから」
やっとおろしてくれる、そう思ったのに
おろされた先は……
「……タクシー?」
タクシーなんかに乗ってどこへ行くの?
「総合病院まで」
はいっ!?
桐生くんの口からは信じられない言葉が飛び出す。
「び、病院!?」
病院は私の大の苦手とする場所だ。
だって、ね?
「薬……くすり……くす、り……」
苦い薬があるでしょ?
それに、
「……注射、ちゅ……やだ」
注射は痛い。
私の中では病院=薬=注射という方程式が成り立っている。
「沢城さんさ、昨日薬飲んでないんじゃないの」
怪しむように聞いてくる桐生くん。
そりゃあもう。
あんな苦いもの飲めません!!
なんて……桐生くんの視線が痛すぎて口には出せなかった。
何も言わない私に対して、はぁと深い溜息をつく桐生くん。
せっかく用意までしてくれて申し訳ないけど………
無理なものは無理なんです。



