「……ど、うしたんですか?」



突然しゃがみ込む桐生くん。



本当に具合が悪いのかと心配する。



「乗れ」



「………?」



乗れ…?



これは桐生くんの背中にってことでしょうか。



どう考えても他に乗るところはない。



桐生くんが私をおんぶするってことだ。



「の、乗れませんっ!その……私重いし………」



「はぁ?お前は軽すぎんだよ。ここまでも俺が運んでやったんだからおとなしく乗っとけ」



運んで来てくれたのが桐生くんだったなんて………



それを知った私は思考停止。



「おい、何してんだよ」



どんなふうに運ばれたのかは知らないけど、桐生くんに運ばれたんだ。



途端に嬉しさと恥ずかしさがこみ上げる。



本当にそうだったとしても、また桐生くんに頼るわけにも行かない。



「やっぱり、自分でちゃんと歩きます。ほら、歩けるし……桐生くんにまた迷惑かけるわけに行きません」



「どこが歩けるだ。そんなフラフラした足取りで。また倒れたらそれこそ迷惑なんだよ。これは命令だ。乗れ」



桐生くんの言ってることはめちゃくちゃだ。



でも優しさもある。



「ありがとう…」



お言葉に甘えて桐生くんにおぶってもらうことにした。



「家まで案内しろよ」



私はコクンと頷いた。



桐生くんの背中は心地良かった。