「・・・ごめんなさい。せっかく残ってくれているのに、こんな言い方で・・・・・・」
うめくような声は、まるで老婆のよう。

「いえ・・・・・・」
そう言いながら、私は彼女が守の母親なのだと理解した。

女性は、さっきまで私がそうしていたように遺影を見上げると微笑んだ。

「あの子・・・いい表情しているでしょう?」

「はい。お会いしてみたかったです」
同じように見上げて、私もうなずく。

彼はどんな声をしていたのだろう。
やさしそうな目が、母親によく似ている。

「あなた、守を知らないの?」

「・・・すみません。先月転校してきたばかりなんです」
なぜか負い目を感じて、私は謝った。