side/理久 ――― 「…何で奈々さん、辞めちゃったんですかねぇ…」 バイトの昼休みに、隣で悟士が呟いた。 「奈々さん、このバイトメンバーの中でも可愛い人だったのに…」 「…はあ?」 「あ、いやいや!奈々さんに惚れたとかじゃないっスよ!?」 俺の表情に、悟士は慌てたように両手を振った。 「俺、彼女いるんですし!」 「……おう」 「…てか、店長に奈々さんの辞表を出したのは兄貴っスよね?」