エレベーターのドアが開くと、そこには一人の女性が立っていた。

すぐにわかった。遠藤さんの奥様だって。


「おかえり!早かったね。
こちら、会社でお世話になってる斉藤さん!
斉藤さん、僕の家内です」

(僕?……奥様の前では「僕」なんだ)

「い、いつもお世話になってます」
心の中で冷静に二人のことを受け止めながらも、やっぱり私はどもってしまった。

二人は、私と遠藤さんが乗ってきたエレベーターの中へと消えて行った。