最近では、また新しい章に移って。

植物の春化とか、そんなことを勉強している。


先生は、黒板に『3月21日』と書いた。



「これ、何の日か分かる人。」


「春分の日。」


「そう。そして、俺の誕生日。どっちもメモっとけ!」



思いがけなく先生の誕生日を知った。

なんだか嬉しくて、私は言われた通りノートにメモした。


『3月21日…春分の日・川上先生の誕生日』


って。



「今から、植物の種を配ります。入ってる袋の裏を見てほしいんだけど。」



そう言って、植物の種を配り始める先生。

よくあるやつ。

裏には、育て方とか、植える時期とか、色んな情報が書いてある。



「その植える時期を見てください。それは……」



先生の授業は、こうして実物が目の前にあることが多くて。

準備するのは絶対に大変だと思うけど、聴く側としては印象に残るし、とっても面白い。


授業の後に、先生がやってきた。



「横内、お前の種なんだった?」


「これ。」


「花言葉見たか?」


「へ?花言葉?」



種の袋を裏返すと、ほんとだ。

開花時期とかと一緒に、花言葉が書いてある。


しかも……。



「何だ、読んでみろ。」


「え、えと、先生。」


「どうした、読めって。」



先生、分かってて言ってるなら、それはどういう意味ですか……?



「あなたを、」


「うん。」


「心から、」


「それで?」


「あ、……愛します。」


「ははは!」



私を恥ずかしがらせるだけ恥ずかしがらせて、先生は、笑い声を上げると去って行った。

一体、川上先生ってなに考えてるんだろう……。


真っ赤になった私を、友達が不思議そうにみつめていて。

私は火照った頬を冷まそうと、顔に冷たい手を当てたんだ。