その日の授業は、楽しかった。
葉脈標本を作っていたんだ。
薬品に漬けて煮た後の葉を、歯ブラシでこする。
「お前、優しすぎるぞ、こするのが。もっと強くやっていい。」
隣で、亜希子が激しくこすりはじめる。
すると、案の定びりっと葉は破れて……。
「あーもう!先生が強くやれとか言うからー!!!」
怒る亜希子に、川上先生は呆れた目を向ける。
「今のは横内に言ったんだ。」
あ、その一言。
きゅんとする川上語録の中に加えておこう。
「先生ー、最近しょっちゅう金縛りに遭うんですよ。うち、オバケでもいるのかな。」
何となく先生にそんなことを言ってみたら。
ふと真面目な表情になった先生は、つぶやくように言った。
「それは……精神的なものじゃないか?」
あ、と思った。
これは失言だ。
先生が、思い出したくないことを思い出させてしまったかも……。
だけど、その後も先生は変わらなかった。
だから、ちょっと安心した。
先生は、過去を過去にできてるんだなって、そう思ったから。
葉脈標本を作っていたんだ。
薬品に漬けて煮た後の葉を、歯ブラシでこする。
「お前、優しすぎるぞ、こするのが。もっと強くやっていい。」
隣で、亜希子が激しくこすりはじめる。
すると、案の定びりっと葉は破れて……。
「あーもう!先生が強くやれとか言うからー!!!」
怒る亜希子に、川上先生は呆れた目を向ける。
「今のは横内に言ったんだ。」
あ、その一言。
きゅんとする川上語録の中に加えておこう。
「先生ー、最近しょっちゅう金縛りに遭うんですよ。うち、オバケでもいるのかな。」
何となく先生にそんなことを言ってみたら。
ふと真面目な表情になった先生は、つぶやくように言った。
「それは……精神的なものじゃないか?」
あ、と思った。
これは失言だ。
先生が、思い出したくないことを思い出させてしまったかも……。
だけど、その後も先生は変わらなかった。
だから、ちょっと安心した。
先生は、過去を過去にできてるんだなって、そう思ったから。