夏休み明け初日。

今日は、何としてでも先生に、お土産を渡さなくてはならない。

それも、担任の分はないから、こっそりと。


チャンスはいきなりやってきた。


朝、裏道から登校していたら、前方に先生が歩いていたんだ。

高校の近くに住んでいるって聞いたことはあったけれど、いつも自転車だったから。

歩いている先生に遭遇したのは初めてだ。


私は、小走りで先生との距離を詰めていった。

これでは、ストーカーみたいだけど。



「せーんせっ!」


「うわっ、びっくりした。」



先生は、あからさまにびっくりした様子で振り返る。



「横内か。」


「おはようございます!」


「おはよう。」


「先生先生、ハイッ!お土産です!」


「え?」



先生は驚いた顔。

でも、私が差し出した袋を、受け取ってくれた。



「いいの?」


「はい!いつもお世話になっているので。」


「またまたー。」


「内緒ですよ!」


「うん。」



そんな会話をしながら、高校の裏門にたどりつく。



「じゃあ俺、こっちだから。」


「はい!」


「ありがとな!」



先生は、袋を掲げて見せた。

朝から、幸せいっぱいだ!


お土産大作戦は、こうして成功したのであった。