そしてやってきた、学園祭期間。

この時期は、クラス全員が団結して、優勝を目指して頑張る。

理数科だから、絶対に負けちゃいけなくて。


クラス内で、分担するんだ。

私は、いつも「ステンド」という班の中にいた。


ステンドって、とっても細かい作業なんだ。

大きな黒い紙に、小さなマスを描いて。

そこに、原画を写していく。


そして、その鉛筆の線を残しながら、デザインカッターで切る。

そのひとマスごとに、セロファンをペン型ののりで貼り付けていく。


気が遠くなるような作業を三週間、朝と放課後にひたすら続けて。

最後に裏返して窓に貼ると、綺麗なステンドグラスのようになるんだ。



ステンドは、私に向いていた。

単純作業で、黙々と取り組む。

すごく、大変だけど、出来た時の達成感は格別だから。



そして、この頃は同時に、短歌のコンクールの予選のための歌を詠んだりした。

もちろん勉強もしなきゃならないから、めちゃめちゃ忙しかった。




「疲れた~。」




その日最後の、生物の授業が終わって。

私は机に突っ伏した。




「何だ、具合悪いのか?」


「違います。疲れただけです。」


「俺がピンピンしてんのに、お前が疲れてどうする。」


「先生は元気でいいですねー。」




川上先生と、そんな軽口を言い合うことができるようになったのが、素直に嬉しい。

あの頃の私は、本当に何の取り柄もなくて。

確かな夢もなくて。

誰かのほんの一言で、ふらふらしてしまいそうな。

そんな弱さを抱えて、生きていたけれど。