そんなことがあって。

しばらく、川上先生と顔を合わせられない日が続いた。


でも、授業は普通にある。

それも、先生の授業だって、もうあと数えるくらいしかないことも知っている。

だけど、やっぱり、顔を合わせられなかった。



生物の授業のとき。


冬日の差し込む、高いところに在る窓から、私の机には燦々と陽が当たっていた。


そしたら―――



「まぶしい?」



そう言って、川上先生が背伸びをしてカーテンを閉めてくれた。

それだけのことで、泣きそうになる。


ありがとうございます、って言いたいのに。


それさえも言えない私。

先生と関わるのが怖くて。

もう前みたいに、話すことなんてできるはずもなくて。


でも、気にしないみたいに先生は授業を始めた。

その白衣の背中を、気付かれないようにじっと見る。


先生の隣にいられた頃の自分が、すごく、すごく。

羨ましかった―――