未だに顔を覗き込んでくる水嶋に、私は後ずさりしながら離れた。
「真尋。
そんなに女の子の顔を覗くのはよくないよ。
吉野さん逃げてるじゃん」
「あー、はいはい。
たくっ、お前は真面目すぎんだよ」
「いや、真面目とかそういう問題じゃなくて、人が嫌がることはやめろって話し」
「それが真面目だって言ってんの」
「はぁ?」
・・・あれ、何だか嫌な空気になってるんだけど・・・。
気のせいじゃないよね?
と、とりあえずこの場をなんとかしよう。
「せ、瀬戸口くん!
そのおすすめのお店早く行こ?
もう夕方だし、閉まっちゃわない?」
「あ、そうだね。
あそこ5時までだから、少し急がなきゃ」
さっきまで険しい顔をしていた瀬戸口くんは、私が話しかけるとパッと笑顔に戻った。
「ほら、真尋も早く行こっ!」
そう言って駆け出す瀬戸口くんを見ていたら、さっきまでの嫌な空気は気のせいだったんじゃないかと思ってしまう。
でも・・・。
「・・・チッ」
小さく舌打ちをする水嶋を見ると、気のせいじゃなかったと思う。
水嶋と瀬戸口くんって、仲のいい友達だよね?
瀬戸口くんはもう何も思ってないみたいだけど、水嶋は何にそんなイラついているんだろう・・・?
「水嶋、私たちも行こ」
笑顔で誘ってみるけど、水嶋は
「おう」
と仏頂面で答えるだけだった。



