大嫌いだったあいつと



「ねぇー、吉野」


隣で声をかけられてハッと我に返る。


「あんたは何でそんなに水嶋が嫌いな訳?」


「え、前っちゃんわかんないの!?
あのキザな言葉なんか聞くと背筋ゾゾーってくるじゃん!」


「・・・ごめん、私にはわかんないわ。
普通に水嶋イケメンでいいやつだと思うんだけどな」


「前っちゃんも他の子と一緒なのか・・・」


「んー、でも私は友達としてなら好きだけど、彼氏としてはちょっとって感じかな」


茶髪でロングの巻き髪をくるくるいじる友人の前本花澄(マエモト カスミ)。


見た目は美人で、一部の男子にはファンがいるほど。


唯一私の理解者であり、黒髪でボブな普通の私と友達になってくれた優しい子。


「まぁ、そんな嫌ってやんなよ。
吉野もあいつともう少し接触しあったら良さがわかるさ、たぶん」


「たぶんですか」


苦笑いする私に前っちゃんは教室に戻ろうと言って歩き出した。