朝日宮は決然と顔を上げる。






「ーーーお兄さまが、僕を置いてお姿を消すなんて、ありえません。


お兄さまは確かにおっしゃってくださったのです。



『この内裏というところは、わたしにとっても居づらいところかも知れない。


だが、わたしはいつまでもお前の味方だし、必ず守ってやるから、安心しろ』



………僕はあのお言葉を支えに、今日まで生きてきたんです」






「そうね、そうよね………」






息子のひたむきな言葉に、明子は何度も頷いてやる。




しかし、心の中では違うことを考えていた。