「あら、五の宮さまの夢を?」





明子は目を丸くしてみせた。




朝日宮は興奮が抑えきれないような声音で答える。





「そうなんです。


相変わらず、お優しくておられました」






「五の宮さまはお優しい方だけど、特にあなたのことを本当に可愛がってくださっていたものねぇ」






母の言葉に、朝日宮の顔がふっと曇った。






「…………過去のことのようにおっしゃらないでください、お母さま。


お兄さまはきっと帰っていらっしゃると、僕は信じております」







潤んだ瞳で見上げられて、明子は愛しい一人息子の頭を優しく撫でた。






「ごめんなさいね、お母さまが悪かったわ………」