沙霧はうんうんと頷き、氷見に笑いかけた。






「疾風は昔からそうだった。


三つ子の魂百まで、とよく言うが、本当だなぁ。



宮中にはたくさんの子どもがいたが、疾風はいつもその中心にいたよ」





「………ふぅん」






むさ苦しい男たちの中で豪快に笑う疾風しか知らない氷見にとっては、疾風が宮中にいた姿など想像さえできない。



だから、沙霧の話には妙な違和感を覚えるのだった。





「わたしが他の皇子と玩具の取り合いをしていた時は、疾風が諌めてくれた。


玩具は逃げないから、皆で一緒に遊べばいいんだと。



菓子の分け前で争った時も、皆で分け合えばいい、『独り占めは良くない』と教えてくれたよ」





「そうか………それじゃ、疾風は今も昔も変わってないってことだなぁ」






氷見はどことなく嬉しそうだった。



沙霧も昔を懐かしむように微笑む。






「わたしは我儘で、勝手な子どもだったからなぁ。


玩具も菓子も好きなだけ欲しかったのだが、疾風はそんなわたしを正しい道に導いてくれたんだよ。


本当に、今こうして白縫党の頭領として皆に尊敬されているのは、全くもって疾風らしいよ」