「疾風、これはここでいいのか?」
背後から沙霧の声が聞こえ、疾風は振り向いた。
そこには、重そうな水甕を両手いっぱいに掲げた沙霧が立っていた。
宮中の奥深くで育ち、まさに扇より重い物など持ったことがないであろう沙霧は、ふらふらとよろめいている。
「沙霧さま………沙霧!!
そんな重いもん持って大丈夫か!?」
疾風は慌てて駆け寄り、代わってやろうとしたが、沙霧は笑って身を躱す。
「大丈夫だよ、疾風。
わたしだって、子どもの頃はお前と共に駆け回って、身体を動かして遊んでいたじゃないか」
「それはそうだが………」
「それに、これからは、この山に住まわせてもらって、ここで生きていくんだから。
これくらい出来なくては、皆に迷惑をかけてしまうだろう?」
「………しかし、そんなにいきなり色々やろうとすると、無理が祟るぞ」
「そうは言ってもな。
郷に入っては郷に従え、だろう?
まぁ、出来ることからやっていくよ」
あははと明るく笑う沙霧を、疾風は少し困ったように、心配そうに見つめた。
背後から沙霧の声が聞こえ、疾風は振り向いた。
そこには、重そうな水甕を両手いっぱいに掲げた沙霧が立っていた。
宮中の奥深くで育ち、まさに扇より重い物など持ったことがないであろう沙霧は、ふらふらとよろめいている。
「沙霧さま………沙霧!!
そんな重いもん持って大丈夫か!?」
疾風は慌てて駆け寄り、代わってやろうとしたが、沙霧は笑って身を躱す。
「大丈夫だよ、疾風。
わたしだって、子どもの頃はお前と共に駆け回って、身体を動かして遊んでいたじゃないか」
「それはそうだが………」
「それに、これからは、この山に住まわせてもらって、ここで生きていくんだから。
これくらい出来なくては、皆に迷惑をかけてしまうだろう?」
「………しかし、そんなにいきなり色々やろうとすると、無理が祟るぞ」
「そうは言ってもな。
郷に入っては郷に従え、だろう?
まぁ、出来ることからやっていくよ」
あははと明るく笑う沙霧を、疾風は少し困ったように、心配そうに見つめた。



