まぁ、本人も言っていたように、沙霧はどうやらこの白縫山にやってくるにあたっては、すべての身分を捨ててきたらしい。
それならば、氷見に過去を話しても、いちおう問題はないだろう。
疾風は意を決して氷見を正面から見た。
「…………あの方は……な。
ときの帝の、皇子(みこ)のお一人だよ」
「……………………な……っ」
予想を遥かに上回る答えが返ってきて、氷見は目を剥いた。
「…………皇子、だと?
なぜそんな奴が、こんな所に………いや、なぜお前に会いに来る?」
疾風は気まずそうに目を軽く伏せてから、溜め息を洩らして顔を上げた。
「俺は、あの方の乳母子(めのとご)だからさ」
「……………………な……っん、だってぇ!?」
にわかには信じがたい言葉に、氷見はひっくり返りそうになった。
それならば、氷見に過去を話しても、いちおう問題はないだろう。
疾風は意を決して氷見を正面から見た。
「…………あの方は……な。
ときの帝の、皇子(みこ)のお一人だよ」
「……………………な……っ」
予想を遥かに上回る答えが返ってきて、氷見は目を剥いた。
「…………皇子、だと?
なぜそんな奴が、こんな所に………いや、なぜお前に会いに来る?」
疾風は気まずそうに目を軽く伏せてから、溜め息を洩らして顔を上げた。
「俺は、あの方の乳母子(めのとご)だからさ」
「……………………な……っん、だってぇ!?」
にわかには信じがたい言葉に、氷見はひっくり返りそうになった。



