あと、少し。



もう数歩で、大樹のもとに辿り着く。






(あと少し、あと少し頑張れば………)






ほっと息をついたのも、束の間。





力を失った沙霧の右足が、思いがけないほどに深く、ずぼりと雪の中に落ち込んだ。




足をとられて身体を大きく傾がせながら、沙霧ははっと息を呑む。







(………な、なんだ?)







今までとは比べものにならないくらいの雪の深さに、驚きのあまり一瞬動きをとめてしまった。





ふと気がつくと、身体はずぶずぶと雪の中に沈み込んでいた。







(………あ、雪壺ーーー吹き溜まりか!)







噂に聞いていただけの現象に、どう対応していいかも分からない。






(こういうときは、どうすればーーー)






これ以上とりこまれないようにと身体を動かしながら、ぐるぐると考える。