*華月譚*雪ノ章 若宮と白狐の恋物語

日継の御子の最有力候補と目されている沙霧を、快く思わない輩がいること。




沙霧の異母弟である奥津宮の外祖父である兼正は、特に沙霧の存在を不愉快に思っていること。




沙霧さえいなければ、兼正の娘が産んだ奥津宮が春宮ーーー皇太子となり、兼正の権勢は揺るぎないものになるということ。




全てを理解した泡雪は、全身から力が抜けたように立ち竦んだ。





「………それじゃ、沙霧は、どうなるんだ?

その兼正とかいう奴に捕らわれたら、沙霧はどうなってしまうんだ?」





疾風は眉根を寄せ、苦しげな声を洩らした。





「………遠い土地に幽閉されるか、もしくは………」





泡雪がごくりと唾を呑み込む。





「………命を奪われるか………」





黙って聞いていた氷見が、血相を変えて「なんだと!?」と叫ぶ。





「人望の厚い沙霧が、自分の孫の邪魔になるからって、こ……殺すっていうのか!?」