*華月譚*雪ノ章 若宮と白狐の恋物語

「疾風!!」





鋭い声が、空から降ってきた。




驚いて顔を上げた彼らの目に、雪曇の空から舞い降りてくる、真紅の髪の少女が写った。





「泡雪! どうして………」





疾風が叫んだが、泡雪は聞こえないように傍らに舞い降りた。




そして、足跡を見つける。





「………沙霧は、沙霧はどうなった?」





消え入りそうな声で呟き、泡雪は疾風に縋りついた。



その顔は疲れきったように隈を作っていて、血の気も失っており、それを不思議に思いながらも、疾風は口を開いた。





「どうやら、連れ去られてしまったらしい」




「………誰に?」




「たぶん、都の………兼正の手の者だと思う」





疾風は蒼ざめた顔で、沙霧をとりまく宮中の情勢を語り始めた。