*華月譚*雪ノ章 若宮と白狐の恋物語

そこで、沈黙が流れる。




重苦しいものではなく、むしろ、柔らかく温かな静けさだったが、なんとなく居たたまれない気がして、沙霧は口を開いた。






「………あの、泡雪」





「うん」





「君が嫌でなければ、でいいんだが」





「ん?」






泡雪が片眉を上げた。




沙霧は目を細めて、頬に穏やかな笑みを浮かべる。






「君の家族ーーー親きょうだいの話も、良ければ、聞かせてくれないだろうか」






今度は泡雪が意表を突かれる番だった。






「私の親の話?


お前、そんなものを聞きたいのか」






「いや、君の気分が少しでも害されるなら、別にいいんだよ」






ふるふると手を振る沙霧を見つめ返しながら、泡雪が怪訝そうに首を傾げる。






「べつに話すのは構わないが……私の話は面白くもなんともないから、聞いても良いことはないぞ」