*華月譚*雪ノ章 若宮と白狐の恋物語

細めた目に涙を滲ませながら、沙霧が言う。




泡雪はその顔をじっと見上げ、「そうか」と呟いた。






「よかった………。


すごく、嫌だったから」






ぽつりと言葉少なに泡雪は語った。




沙霧は目を見開き、「え?」と聞き返す。






「………お前が、たくさんの女を妻にするのかと思ったら、私は、すごく嫌な気持ちだった。


だから、そうではないと分かって、よかった」






「そ、そうか………」






それはよかった、と沙霧は間抜けな返事をした。




冷や汗でも流しかねないようなその顔を、真顔でじっと見つめて、泡雪はこくりと頷いた。






「お前は、好いた女一人だけを妻にすれば良いと思う」






沙霧は、「えっ?」と何度目かも分からない声を上げる。






「………あ、あぁ、そうだな。


わたしも、そう思うよ」






「うん」






泡雪は満足げに頷いた。