*華月譚*雪ノ章 若宮と白狐の恋物語

泡雪が小首を傾げて口を開いた。






「たった一人の家族?


さっき、お前は、弟がいると言わなかったか」





「ああ………」






沙霧は頷いた。






「そうだよ、朝日は可愛い弟だ。


でもね、朝日は異腹の弟なんだよ」





「ことはら?」





「父は同じなんだが、生みの母が違うということだよ」





「えっ」






泡雪がいつになく大きな声を上げ、驚愕の表情を浮かべた。






「兄弟なのに、母親が違うのか?」






「あぁ、そうだよ。


帝である父上は、大勢の妃―――妻を娶っておられるからね。


だからわたしには、異腹の兄弟がたくさんいるんだよ」







沙霧は懐かしげに微笑んだが、泡雪はなぜか、きつく眉根を寄せ、険しい顔つきになっていった。