いつものように、なんの屈託もなく泡雪は言う。
沙霧は慌てて、顔の前で手を横に振った。
「いや、決してそういうわけでは!
というか、むしろ………」
そこまで言ってから、泡雪のまっすぐな眼差しに堪えかねたように目線を逸らす。
「………えーと、その話は、また、おいおいする、ということで………」
「わかった」
泡雪はこくりと頷いた。
沙霧は気を取り直したように、「で、わたしの母上は」と話題を変える。
「母上は、父上と違って、毎日わたしと一緒に過ごしてくださっていた。
とてもお優しく、奥ゆかしい御方で、父上にもたいそう愛されておられた。
でもね、お身体が丈夫ではあられなかったから、ご病気を得て、若くしてお命を落とされてしまったんだ」
「そうか………」
「母上が亡くなられたときは、たった一人の家族を失ってしまったような、ひどく寂しく、虚しい気持ちになったよ」
沙霧は、そのころの覚束ない心境を思い出し、陰のある微笑みを浮かべた。
沙霧は慌てて、顔の前で手を横に振った。
「いや、決してそういうわけでは!
というか、むしろ………」
そこまで言ってから、泡雪のまっすぐな眼差しに堪えかねたように目線を逸らす。
「………えーと、その話は、また、おいおいする、ということで………」
「わかった」
泡雪はこくりと頷いた。
沙霧は気を取り直したように、「で、わたしの母上は」と話題を変える。
「母上は、父上と違って、毎日わたしと一緒に過ごしてくださっていた。
とてもお優しく、奥ゆかしい御方で、父上にもたいそう愛されておられた。
でもね、お身体が丈夫ではあられなかったから、ご病気を得て、若くしてお命を落とされてしまったんだ」
「そうか………」
「母上が亡くなられたときは、たった一人の家族を失ってしまったような、ひどく寂しく、虚しい気持ちになったよ」
沙霧は、そのころの覚束ない心境を思い出し、陰のある微笑みを浮かべた。



