*華月譚*雪ノ章 若宮と白狐の恋物語

「家族の話か………」






沙霧はにこりと笑った。






「そうだな、ではまず、わたしの父上と母上の話をしようか」






泡雪がこくりと頷き、沙霧の声に耳を傾けるように顎を上げた。






「わたしの父上はね、君にはよく分からないかもしれないが、『みかど』と呼ばれる御方なんだ」






「みかど………」






「そう、帝というのは、この国のすべてを統べる、尊い天子のことだよ。


この国の土地も、人も、全てが帝のものだとされている」






「………では、私も、みかど、のものなのか?」







きょとんとした顔で泡雪が訊ねると、沙霧は笑みを零した。







「はは、そういうことになってしまうね。


まぁ、それは難しい話だから、深く考えるのは、よそう。


君も、わたしも、まず第一に、自分のものだからね」






「………ふぅん」






よく分からないので、泡雪はとりあえず相づちを打つだけにした。