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冷たい雪風に凍えきった身体を暖めるため、火にかけて温めた濁り酒を飲み干す。
「………あぁ、五臓六腑に染み渡るなぁ」
「…………ん」
酒器を両手で握りしめ、小さく頷く泡雪の白く滑らかな頬が、橙色の灯火に照らされて、ほの朱く艶めいていた。
「泡雪、今日は疲れただろう。
早く眠ったほうがいい」
沙霧はそう言うと、泡雪の寝床を整えてやった。
泡雪は素直に夜着の中に潜り込んだが、沙霧が立ち上がろうとすると、その袖口をぎゅっと掴んできた。
「ん? どうした、泡雪」
「…………帰るのか」
いつものようにあまり感情の見えない面持ちで、泡雪は小さく呟いた。
「まだ、眠くない。
もう少し、ここにいろ」
沙霧は面食らったようにぱちぱちと瞬きをしてから、「う、うん」と腰を下ろした。



