「朝日はね、あんなところで生まれ育ったというのに、本当に素直な子なんだ。
いつも明るくて、真っ直ぐに人の目を見て、表情がくるくる変わって、好きなものは好きだと、素直に言うことができる。
………ああいう人間こそ、治天の君として相応しいと、わたしはいつも思っていた」
沙霧は懐かしげに目を細めつつ、独り言のように呟いた。
「ーーー彼に比べてわたしは、つくづく、そんな器ではなかった。
わたしはいつも、何かを言うとき、びくびくしていたよ。
自分の言葉が、相手にどのように捉えられるか、そればかり気にしていた。
曲がった解釈のされ方をして、相手に不快な思いをさせるのではないか。
自分の意図とは異なるかたちで広まって、思わぬ波及をしてしまうのではないか。
それがもとになって、予想もしなかったような混乱を招くのではないか。
………そんなことばかり考えて、思ったことをそのまま口に出したことなんて、ほとんどなかった。
ひとの顔色ばかり窺って、いらぬ心配ばかりして、萎縮しきっていたんだなぁ」
いつも明るくて、真っ直ぐに人の目を見て、表情がくるくる変わって、好きなものは好きだと、素直に言うことができる。
………ああいう人間こそ、治天の君として相応しいと、わたしはいつも思っていた」
沙霧は懐かしげに目を細めつつ、独り言のように呟いた。
「ーーー彼に比べてわたしは、つくづく、そんな器ではなかった。
わたしはいつも、何かを言うとき、びくびくしていたよ。
自分の言葉が、相手にどのように捉えられるか、そればかり気にしていた。
曲がった解釈のされ方をして、相手に不快な思いをさせるのではないか。
自分の意図とは異なるかたちで広まって、思わぬ波及をしてしまうのではないか。
それがもとになって、予想もしなかったような混乱を招くのではないか。
………そんなことばかり考えて、思ったことをそのまま口に出したことなんて、ほとんどなかった。
ひとの顔色ばかり窺って、いらぬ心配ばかりして、萎縮しきっていたんだなぁ」



