沙霧は、泡雪を抱く腕を緩め、琥珀の瞳を覗き込んだ。
「そうだなぁ、いま思えば、本当に、窮屈な思いをしていた気がする。
あそこはね、考え無しに口を開いて、不用意な発言をしてしまうと、それが命取りになるようなところだった。
誰もがそんな緊張感に顔を強張らせて、自由に息も出来ないような暮らしをしていた。
でも、それが普通のことだと、皆が思っていると思うよ。
そんな暮らしが、世間とはかけ離れているだなんて、考えることもなかった」
「…………ふぅん」
沙霧は空を仰ぎ、遠い目をして語った。
しかし、何かを思い出したように、「あぁ、でもね」と視線を戻す。
「たった一人だけ、君のように、思いのままを言葉にすることができる者がいた」
「…………ふぅん、だれ?」
「わたしの弟だよ」
沙霧は、それはそれは嬉しそうに、にっこりと答えた。
「そうだなぁ、いま思えば、本当に、窮屈な思いをしていた気がする。
あそこはね、考え無しに口を開いて、不用意な発言をしてしまうと、それが命取りになるようなところだった。
誰もがそんな緊張感に顔を強張らせて、自由に息も出来ないような暮らしをしていた。
でも、それが普通のことだと、皆が思っていると思うよ。
そんな暮らしが、世間とはかけ離れているだなんて、考えることもなかった」
「…………ふぅん」
沙霧は空を仰ぎ、遠い目をして語った。
しかし、何かを思い出したように、「あぁ、でもね」と視線を戻す。
「たった一人だけ、君のように、思いのままを言葉にすることができる者がいた」
「…………ふぅん、だれ?」
「わたしの弟だよ」
沙霧は、それはそれは嬉しそうに、にっこりと答えた。



