*華月譚*雪ノ章 若宮と白狐の恋物語

沙霧は押し殺したような声で、「ほんとに、君は」と言う。






「………なに? 沙霧」





泡雪は怪訝そうな顔になった。




その身体を抱く腕に、さらに力を込め、沙霧は呻くように言った。






「………君は、なんて、可愛いんだ!」





泡雪は目を丸くした。






「………可愛い?


私の、どこが?」






心から不思議そうに訊ね返す。




沙霧は我慢できない、といった様子で泡雪をぎゅうぎゅうと抱き寄せた。







「わたしはもう、君が可愛くて、可愛くて、仕方がないよ。


君はどうしてそんなに可愛いことばかり言うのだろう?」






「……………」







泡雪はどう言葉を返せばよいのか分からず、ただ身を硬直させ、どこか呆然とした表情でされるがままになっていた。