*華月譚*雪ノ章 若宮と白狐の恋物語

「わたしの作った下手な櫛を、そんなにも大事に思ってくれるなんて、本当に嬉しいよ。


でも……わたしは、もし君に何かあったら、櫛が無くなるよりもずっと、ずっと、つらい思いをするよ。



だからね、覚えておいておくれ。


その櫛よりもずっと、ずっと、君のほうが大事なんだということを」






「………わかった」






泡雪は素直に頷いた。




しかし、まだ何か言いたげに、唇をかすかに動かしている。






「どうしたんだい、泡雪」






「………お前の言うことは分かったけど」






「うん?」







泡雪がぱっと目を上げ、琥珀色に透き通った瞳で、まっすぐに沙霧を見た。