*華月譚*雪ノ章 若宮と白狐の恋物語

(どこへ行ったんだろう、あれは………)






幾度目かも分からない、自分の足跡を辿ってゆっくりと歩く。





雪がひどくなってきた。




足もとを見ても、白く煙った視界では、何も捉えられない。





嗅覚に頼るしかなく、泡雪は目を閉じて鼻だけに意識を集中させた。





四半刻ほどもそうして探し歩いているうちに、ふと風が止んだ一瞬があった。





その瞬間に、鼻腔をくすぐった、慣れ親しんだ香り。






泡雪ははっと目を見開き、その場にしゃがみこんだ。





何度か空気を吸い込み、匂いを確かめるようにしたあと、狙いを定めて、柔らかく降り積もった真新しい雪に両手を差し入れた。




雪を掻き分けていくと。






「―――――あった………」






白皙の顔に、ほっと安堵の笑みが浮かぶ。




そのまま、泡雪はぱっと立ち上がり、早足で歩き出した。