*華月譚*雪ノ章 若宮と白狐の恋物語

(………足跡が、消えた?


なぜだ………?)






まさかそんなことが、と考えてから、沙霧は、はた、と気づく。






(いや、…………泡雪は、歩かなくとも移動できる)







近ごろの泡雪は、初めて出会った頃のように、不思議な力を使うことがなかったので、すっかり忘れていた。







(泡雪は、宙を飛べるのだった………)







ということは、泡雪は、ここで足を止めて、どこかへ飛んで行った、ということだろうか。







(それならば、足跡を辿って探し出すわけにもいかない………)







沙霧は顔を歪め、ぎり、と唇を噛んだ。