*華月譚*雪ノ章 若宮と白狐の恋物語

足跡を辿って歩きながら、ふと思いついて、懐に忍ばせていた油紙を取り出す。




手燭の周りに巻きつけ、台の部分で固定すると、灯火の安定感がずいぶん増した。





足元を照らすようにすると、雪が赤みを帯びた梔子色に染まった。






足跡は、両側に樹々の聳える細い道を下っていく。




都へと繋がる道である。






(………まさか、わたしたちを迎えに行こうとしていたのか?)






そう思い当たって、沙霧は何とも言えない気持ちになる。




泡雪の足跡は、順調に山を下っていたが、あるところでふつり、と途切れた。





訝しく思って、明かりを近づけてみると、何度か足踏みをして、数歩引き返したようになっていた。







(この不思議な跡は、どういうわけだ?


何かに行き会って、先に行くのを諦めたのか………)







それにしては、白縫党の住処のほうへと引き返していった跡がない。