*華月譚*雪ノ章 若宮と白狐の恋物語

幸い、風は凪いでいた。



手燭の灯火が消えずにすみそうなことに少し安堵しつつ、沙霧は泡雪を探しはじめる。





洞窟を出てすぐのところに、小さな足跡があった。




その大きさと、人間の裸足の形をしていることから、泡雪のものであることはすぐに知れた。







(これを辿ってゆけば良いな………)








泡雪はまだ人間との生活に慣れきってはおらず、一人で動き回ることはほとんどない。




沙霧と疾風、玉梓以外に、泡雪が自ら接触していくことは、ほとんど皆無だった。







(その泡雪が、今日は玉梓にも会わず、自分の洞窟にもいなくて、しかも、わたしのところにも来ていない………)







おかしい、と沙霧は直感する。







(他に行きそうなところは、あったか………?)







考えを巡らせるが、何も思いつかない。