*華月譚*雪ノ章 若宮と白狐の恋物語

空は既に、ずいぶん暗くなっている。






沙霧は雪を踏みしめ、まっすぐに泡雪の洞窟へ向かった。





入り口に立つと、ゆらりと明かりが揺らめいているのが見えたので、内心ほっとする。






ーーーしかし、中には、泡雪の姿はなかった。




ただ、燈芯の尽きかけた弱々しい灯火がゆらめいているだけ。






沙霧は眉をひそめ、すぐに踵を返す。





自分の住まう洞窟に近づく途中で、中から洩れる光がないことに気がついた。





念のために覗いてみたが、やはり、真っ暗な中に人の気配はなかった。







(………どこにいるのだろう、泡雪は)







不安を覚えた沙霧は、持ち運べる大きさの手燭(てしょく)を用意し、火を灯した。