*華月譚*雪ノ章 若宮と白狐の恋物語

だけど………と、沙霧は思う。






(疾風はどうやら、自分は何も凄くないのだ、と思っているようだが………)







それは違う、と沙霧は確信している。






自分の失敗した話を、恥ずかし気もなくさらけ出せること。




これだけ大勢の盗人たちを従えて、お頭と慕われているというのに、自分の手柄ではないと言い切り。謙遜の心を失わずにいること。




そして、何の恥じらいもなく、自分の妻を褒めちぎり、妻を立てることができること。






(そういう、思慮深い、そして誠実な、正直な心根こそが、男たちに信頼されている所以なのだな………)







やはり、疾風は自分にとって、最高の自慢の兄だ、と沙霧は思った。