*華月譚*雪ノ章 若宮と白狐の恋物語

「そうして、その娘は、俺と共に白縫山で暮らすようになったんだ」







「……………えっ!?」








沙霧が、がばっと顔を上げた。





唖然としたように疾風を見上げ、「なんだって?」と呟く。







「まさか、じゃあ、その気丈な娘というのは………」






「あぁ、そうだよ。


その娘が、玉梓だ」







沙霧は今度こそ、絶句して口をぱくぱくさせた。





疾風がその顔を可笑しそうに見下ろす。







「玉梓はすごいやつだよ。


こんな山奥まで、女一人で俺のことを追いかけてきてくれて、暮らし始めると、みるみるうちに生活環境を整えていった。



いま、白縫党がこんな風にまとまっているのも、俺の人望だとかそんなものじゃないんだ。


玉梓の手柄だよ。



あいつがにこにこしながら、炊事から洗濯から怪我の手当てまで、男たちの面倒をちゃんと見てくれるから、皆があいつの言うことは聞く。


その夫だということで、俺は一目置いてもらってるんだよ」







疾風は、ひどく誇らし気だった。







(心から玉梓のことを愛しているんだなぁ………)







沙霧はそう思って、自分のことのように喜ばしい気持ちになった。