*華月譚*雪ノ章 若宮と白狐の恋物語

粉雪を含んだ風が、二人の身体を包み込む。




寒さを感じた疾風は、先を促すように沙霧の背を押し、歩き出した。






「都を出た娘は、男の俺でも大変だった険しい山道を、たった一人で登ってきた。


そして、奥深い山の、どこにいるとも知れない俺を、何十日もかけて、自力で探し出した。



その間は、持ってきた食べ物を食べ、それが無くなってからは、川で水を汲み、魚を獲り、山菜を採り、罠を作って動物を仕留めて、持ってきた小鍋で料理をしたそうだ。



俺でさえ、初めは生き物をさばくのに躊躇したが………。


娘は、生きるために、生き抜くために、何が必要か、よく分かっていたんだな」






「うん………」






疾風は沙霧を見つめて、明るい声で言った。






「ーーーーー女というのは、いざとなったら、男よりもずっと強い。


俺はそのとき、そう確信した。


まったく、大したもんだよ」






「本当だなぁ………」







疾風はしみじみと空を見上げ、沙霧も感動したように頷いた。