*華月譚*雪ノ章 若宮と白狐の恋物語

初めて世間の厳しさを知ったらしい沙霧を、疾風が目を細めて見下ろす。






「女というものは、思っていたよりずっと、強くて、したたかで、生きる力があるらしい。


俺は、そう感心した。



そして、それを実感する事件が、もう一つあったんだよ」






「へえ、なんだい?


わたしはもう、何を聞いても驚かないよ」






沙霧は覚悟を決めたように力強く頷いた。






「青菜の一件のあと、俺は、廃屋に勝手に住み着いていたのがばれて、追い出されることになった。


次の住処は見つからなかった。



今まで世話になった人たちに別れを告げて、俺は旅支度をした。


すると、さっき話した、隣に住んでいた娘が、突然、訪ねてきたんだ」





「へえ」






話をする疾風の顔が、妙に嬉しそうだった。