*華月譚*雪ノ章 若宮と白狐の恋物語

「ほう、半値にしてくれたのか。気前が良いな」







沙霧が感心するように頷いた。




すると、疾風はにやりと意味深に笑い、続けた。







「あぁ、俺は喜んで、籠いっぱいの青菜を買って帰ったよ。


こんなに青菜ばかりどうしようか、とも思ったが、せっかく安く手に入るのだし、近所に住んでいる奴らに分けてやればよい、と考えたんだ」






「ふむ、良いことだ」






「俺は両手いっぱいの青菜を抱えて、そのころ住み着いていた廃屋に戻った。

そして、ふだん食料やら着物やらを分けてくれていた親切な人たちに、青菜を配ることにした。


初めに、すぐ隣に住む母娘の家を訪ねた。


娘が出てきて、俺の持っていた青菜をじっと見つめた。

あまりにも呆気にとられたような顔で見てくるから、俺は理由を訊ねたよ。


するとその娘が、『いったい、いくらで買ったの』と呟いた。

俺は自慢げに、十文だ、と答えた。


そしたら娘は、大爆笑さ」






「えっ? 笑ったのか? なぜ?」







沙霧は目を丸くした。




青菜の分け前が嬉しすぎて笑ったわけではないのだろう、ということだけは分かった。